第4回定期演奏会曲目解説

序曲 オラーツィオ兄弟とクリアーツィオ兄弟 SINFONIA GLI ORAZII ED I CURIAZII  

作曲 Domenico Cimarosa  編曲 Giovanni Francesco Poli

 チマローザはナポリ近郊アヴェルサの貧しい家庭に生れましたが、楽才に優れている事が僧院のオルガン奏者の目にとまり、その援助を得て11歳でナポリ音楽院に入学。オペラの作曲により成功を収め、イタリアで最も人気の高いオペラ作曲家の地位を確立しました。1796年にヴェネツィアで初演された歌劇「オラーツィオ兄弟とクリアーツィオ兄弟」はローマ帝国と隣国アルバとの争いを決着するため、両国から3兄弟が代表して戦い、ローマのオラーツィオが勝ったのですが、オラーツィオの妹はクリアーツィオ兄弟の1人と相愛の仲であったため、兄を恨みローマを呪った。怒った兄は妹を刺してローマへの忠誠を誓う、という悲劇の曲です。編曲はイタリアの音楽家ポリーによるもの。


夜想曲  Serenade NOTTURNO

  作曲  Spartaco Copertini
 コペルティーニは1879年生まれのイタリアの作曲家・音楽評論家・エッセイストです。オルガンと声楽のための曲や管弦楽の「秋」(1909年)、「ヴェネツィアの印象」(1910年)の他、室内楽、ピアノ曲など数多くの作品を残しています。今回演奏する「夜想曲」は1905年にマンドリン専門紙「イル・プレットロ」にマンドリン四重奏曲として掲載されたもので、静かな小品です。


アンダンテとポロネーズ  ANDANTE ET POLONAISE 

  作曲 Edouard Mezzacapo 

 1832年ナポリ生まれのマンドリニスト・作曲家であるメッツァカーポは初めマンドリンをナポリで学び、その後20歳の時にパリに行き17世紀の伝統的なマンドリン音楽を学びました。数多くの4重奏曲を残し、「アンダンテとポロネーズ」は代表作としてしばしば演奏されています。
 
組曲 スペインの印象  SUITE ESPAGNOLE  IMPRESSIONS D’ESPAGNE

      作曲 Eugène Boucheron

 ブーシュロンは1876年生まれのフランスの作曲家です。パリ音楽院で学びブリュッセルで活躍、パリで音楽学校を開設しています。「スペインの印象」はブーシュロンがスペインを訪れたときの印象を「行列」「セレナーデ」「オレンジの木の下で」「ボレロ」の4楽章からなる組曲に作曲したものです。、第45回国際作曲家競技会で第1位を獲得し、ヘルマン・アルフォンゾ夫妻に捧げられています。楽譜は1911年にL'Estudiantinaからマンドリン4重奏として出版されています。ブーシュロンの作品としては他にセレナーデ「冬の花」、ガヴォット「夢見心地!」「ボレロ」、大組曲「妖精達の踊り」等が知られており、これらは同じく、マンドリン専門紙「エスティディアンティナ」に掲載されています。


オペラ座の怪人 Le Fantôme de l'Opéra

  作曲 Andrew Lloyd-Webber  編曲 武藤理恵

『オペラ座の怪人』は、フランスの作家ガストン・ルルーによって1909年に発表された小説ですが、これを原作として映画、テレビ映画、ミュージカルなどが多数作られました。日本では1988年4月に劇団四季が上演を開始し、上演劇場を変えながら断続的に長期公演を行っています。作曲はイギリスの作曲家A.L.ウェーバーによるもので、彼はジーザスクライストスーパースター、エビータ、キャッツ、スターライト・エクスプレス、オペラ座の怪人というように、ミュージカルのヒットメーカーと言われています。


My heart will go on                       

    作曲 James Horner  編曲 小穴雄一
「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」はセリーヌ・ディオンによって歌われた曲で、1912年に実際に起きたタイタニック号沈没事故を基に、貧しい青年と上流階級の娘の悲恋を描いた超大作映画『タイタニック』の主題歌です。ウィル・ジェニングスによる作詞とジェームズ・ホーナーによる作曲で、1997年のアカデミー歌曲賞を受賞しています。


組曲 スペイン  SUITE SPAGNOLA       

  作曲 Claudio. Mandonico
 マンドニコはイタリアの現代作曲家で1957年イタリアのブレシアに生まれました。ブレシアの青年音楽教育センターでサクソフォーン、ピアノ、コントラバスを学び1986年にブレシアの音楽院作曲科を卒業しています。ブレシア市マンドリン・オーケストラでは指揮者を務めたほか、オーケストラのベーシストやサックス、クラリネットなどの管楽器奏者として各種の合奏団に参加、ピアニストとしても活躍しました。 
 ジャズやポピュラー音楽の影響を受け、新たな音楽表現を試みながら中世、ルネッサンス、バロックから現代曲までの様々なスタイルを反映した多くの作品を残しています。
  組曲スペインは次の3楽章からなる現代的なリズムが特徴の曲です。

 第1楽章 一番鶏、風と太陽 CANTA GALO,VIEN O DIA
 第2楽章 ハバネラ     HABANERA
 第3楽章 ペロータ     PELOTA

 2楽章のハバネラはキューバの民族舞曲として有名ですが、船員によってスペインに渡り、スペイン舞曲として根付いたものです。3楽章のペロータはスペインバスク地方の代表的なスポーツの一つで、壁に向かって一人または一組がボールを素手またはラケットを使って打ち合います。